公務員試験の指導者としてたくさんの合格者を短期合格させてきた経験から、受かる勉強法というのを紹介してみたいと思います。
公務員試験の択一試験は教養試験と専門試験があるけど、専門試験は政令指定都市と中核市の一部、県庁以上で出題される。公務員には法律で国民の権利を調整して「所得の再分配」をする行政と、法律によって国民の権利を救済する司法があり、その法律を作るのが国民の代表で構成される国会。そしてその下部組織として政府や地方自治体があり、公務員の行動は全て法律に基づいて規律され方針が立てられているので、法律を知らない公務員は役に立たない。
ただ、市役所や区役所では、法律は条文通りに適用するのが仕事だから、難しい解釈は知らなくていい。法律がどこにあり、どのような文言になっているかを知っていれば公務員としては十分。
公務員は徴税業務など法律知識や財政知識が必要だし、選挙制度を知らないと困るし、行政学、自治体経営、社会学などの知識が備わっていることが必要なので、就業前訓練(PJT)としての学習の成果を試す試験として専門試験がある。勿論、採用後も法制度が変わると職員はアップデートしなければならないので、勉強を続けるのが好きな人が公務員になり易いように試験が組まれているんだ。
択一試験では教養(基礎能力)試験ではアタマの良さ(?)を見られる。
専門試験では暗記力を試される。
午前中に教養試験が実施されるのは、朝、ちゃんと頭が回転するかどうか、をチェックする意味がある。
東大受験のとき、数学の試験日は最低でも5時間前に起床するように予備校の東大講師は注意してくれてたので、数的をやる5時間前には起きている生活、つまり朝4時には起きて勉強をする生活を1年間続けてた。
専門は簡単で、過去問の問題文と、解説のポイントだけ暗記すればいい。
講師が難しいこと言っても、あまり深く考えなくていい。
うちの一般職受講生が得点取れなくて悩むポイントは民法の抵当権とか、留置権など担保物権。あとは法定地上権なんかかな。行政法は行政事件訴訟法の40条以下が困ることが多いようだけど、制度がわからなくても、問題暗記して、正解の選択肢を覚える、又は間違いの選択肢のどこが間違いかを覚えれば、受かるからあまり気にしない方が良い。
経済は捨てても良いけど、知識やグラフ問題は得点になるし、地方上級だと簡単な経済の問題が出るので、計算問題だけ捨てれば良いと思うよ。
うちの予備校では「早く、簡単に受かる。」ことが目標。「不合格者を作らない」のが目標。点が取れることと勉強ができることは同じじゃない。
それと解説はできるだけ短く書くようにスタッフにはお願いしてる。
市販の専門問題集の解説は、酷い誤文だらけ。内容は間違ってないけど、無駄にド下手な論文調で解説が書かれてて、1行で済むところが15行くらいある。解説原稿書くアルバイトの給与ってページ数で払われるから、簡単な問題ほど大量のページを使って金を稼ごうとしているのが見え見え。くどくどと回りくどくて、ポイント外した解説になるから勉強には害悪かな。
短い解説は、文の量は短いし、書く前にじっくりと考えてから、ポイント押さえて書かないといけないので、字数でお金貰うバイトには無理だよね。
だから、うちはバイトは使わない。それが合格者をたくさん出せる予備校になる最低条件かな。
市販問題集の解説は私でも理解困難。頭痛くなるからここ10年くらいは読んだことないので、もし、改善されてたらごめんなさいです。
東大生は、総合職受験する場合、過去問だけが研究室に置いてあり「自分で解説考えて、正解番号見て理解しろ。」って感じだったので、同じ方法で解説を書いています。
教養も専門も、結局、大手予備校や有名公務員試験出版社の解説がわかりにくい(執筆者が自己満足してるだけ)ことに尽きるかも。大手予備校がなければもっと公務員試験は簡単に合格できるということみたい。
偏差値40くらいの人にわかるように書けないなら、それは、分かっていない証拠。専門用語を知らないからとバカにする講師は、実は、その専門用語を理解していない。
択一は、マークシート使って、選択肢から一つ選べば済む試験。手抜きができる試験。「塗り絵」なんて言う学生もいる。過去問を真面目に勉強すれば択一だけなら簡単に合格できる思う。
予備校に行くのは、択一不合格になって「悔しい」「どうしてもなりたい」と思ったときに行けばいいんじゃないかな。
論文を手抜きしているから落ちる
論文試験は、択一と違って手抜きが通じない。
「字は体を表す」というように、論文試験は人柄が出る試験。
人柄重視の公務員試験で、論文は択一以上に重要だよ。
採点者も本気で採点してるし。
重要なのは教養論文。役所のことがわかってないと書けない。
一般職以下の憲法や都庁の学系専門論文は、大学の期末試験問題と同じだから、過去問をウイキペディアで検索して作文して暗記した方が、市販の本の模範答案よりもまともな内容になると思います。
爺さんたちの時代から「合否」を分けるのは論文と言われてきた。
その頃のキャリア試験、高等文官試験は合格すれば退職後は弁護士になれた。
まあ、弁護士になる人は少なかったみたいだけど。
とにかく、論理的な文章作成力があることがキャリアになるには必須ということでしょう。「お前は死刑だ」と言われて納得できるだけの文章力を身に付けることが総合職には求められるし、一般職以下でも、言いたいことがわかる程度の文章が書けなければダメ。本校以外の受験生の論文は99%が「5段階評価の2」。「1」は不合格。
私は、最高裁判例を論文の基本として指導してます。日本には論文学という学問がないので、日本の論文の最高峰は最高裁判例だからです。人を殺すことができる文章だから最高に決まってるよね。
面接試験は、合格技術の集大成。
最後に面接。これは単なる意思確認。一次面接があるところは、話し方ができるかどうかの試験が一次面接。その後、意思確認が二次面接です。
意志が強いかどうかは、面接試験に来るまでにわかる。だから挨拶すれば、面接はおしまい。この意味がわかれば合格のコツもわかる。
意志の弱い人や、意志は強いけど、採用したくない人は論文や択一が悪いという理由で不合格に。面接で不合格になったと言われれば受験生は面接官を恨むし、SNSなんかに書きこむ輩もいるでしょ。面接官を役所前で待ち伏せたりしそう。だから「面接で不合格にした」と言うのはできるだけ避ける。任命拒否みたいにいつまでもネチネチと追及されるのも困る。
任命拒否されないように、日頃の生活態度に気を付けることが大切。
最後に合格のコツ。
採用してくれそうなところを探すこと。就職試験だからね。
みんなでもできるのは、過去問の冊子を、本番と同じにやってみて、自分が今の学力で一番点が取れる試験を見つける。
私の場合は、過去の数万の合格者を類型的に分析したので、2.3か月指導していると採用してくれそうなところがわかるようになる。これは多分、日本で私だけだと思う。他にこんなに長い間、こんなにたくさんの合格者を出した公務員試験指導者がいないから。
公務員試験は、今までに勉強したことや、経験が生きる試験で、数学ができるから受かるとか、偏差値の高い大学だから受かる試験というのは、あまり正しくない。
早慶でも、公務員になり易いのは関東だけと東北くらいかな。
近畿は関関同立の方が公務員に受かるし。偏差値は重要な合格ファクターではない。
いずれにしても、受かる試験を見つけることが先決。勉強は万能ではない。
勉強しかできない人間(私)が言うのだから間違いはない。
公務員試験の合格理論は完成された理論。
たくさんの人の「寄せ集め理論」では一人の英知に及ばないことをこの20年間実証してきてしまいました。
公務員試験程度のことを難しく考えることはない。
公務員として何年も仕事をして国民のために尽くすことの方が遥かに難しいと思います。