26年特別区 経済の問題です。(所得効果と代替効果 概説)


 

【No.21】 次の図は、X財とY財との無差別曲線をU0及びU1、予算線PTの消費者均衡点をE0、予算線RSの消費者均衡点をE1、予算線RSと平行に描かれている予算線PQの消費者均衡点をE2で示したものである。今、X財の価格の下落により、予算線PTが予算線PQに変化し、消費者均衡点がE0からE2へと移動した場合の需要変化に関する記述として、妥当なのはどれか。
keizai20150823
1 X財は、上級財であり、X財の価格下落による正の所得効果及び正の代替効果により、全体としての効果はプラスとなる。
2 X財は、上級財であり、X財の価格下落による正の代替効果が負の所得効果を下回るため、全体としての効果はマイナスとなる。
3 X財は、下級財であり、X財の価格下落による正の代替効果が負の所得効果を上回るため、全体としての効果はプラスとなる。
4 X財は、ギッフェン財であり、X財の価格下落による負の所得効果が正の代替効果を上回るため、全体としての効果はマイナスとなる。
5 X財は、ギッフェン財であり、X財の価格下落による負の所得効果が正の代替効果を下回るため、全体としての効果はプラスとなる。

本問のグラフを見た時に、「ギッフェン財を説明している図だな」と推測できると良いですね。ギッフェン財は下級財の中で、「負の所得効果が正の代替効果を上回る財」とされます。所得効果と代替効果の説明として、ギッフェン財を題材とし、本問のようなグラフを使うのが一般的ですので、グラフを見たときにすぐにギッフェン財のグラフで、負の所得効果が正の代替効果を上回ると気づくように勉強することが合格への最短距離なのです。

無差別曲線U0上の E0⇒E1は、代替効果を示しています。

同じくU0からU1への遷移とE1⇒E2 は所得効果を示しています。

E0⇒E1 では、X財の数量は増加し、Y財の数量は減少していますので、、X財については正の代替効果があったことになります。Y財には負の代替効果があったことになります。

E1⇒E2 では、X財の数量が減少しているので、負の所得効果があったことになります。

以上から、X財がギッフェン財であり、負の所得効果が、正の代替効果を上回るために、X財は、E0⇒E2で減少していますので、全体としてマイナスとなります。以上から正解は4です。

と、解説しても、所得効果や代替効果についてわかっていない人が多いでしょうから、ちゃんとわかるように解説します。

この問題は、E0からE1 が代替効果、E1からE2 が所得効果を示す、「ギッフェン財における所得効果と代替効果を説明する」代表的なグラフですので、出題者は「ギッフェン財を題材として、所得効果と代替効果をしっかり勉強してもらいたい」という意図で出題したのではないかと思います。その意図に沿って、解説してみましょう。

Ⅰ)代替効果

代替効果とは「同一無差別曲線上で均衡点が移動することによって、高い所得で実現できた効用が、低い所得でも実現できるようになること」です。簡単に言えば、財の組み合わせを調整することで、予算が低くても高い効用が得られるようになることです。「代替効果」とは、「代わりの財で」同じ効果が得られるようにする効果ということになります。

0⇒E1 で説明しましょう。

代替効果は同一無差別曲線上で起こるのが原則です。

0とE1は同じ無差別曲線上にあるので効用は一致します。

わかりやすいように予算線PTにおける所得を100万円、予算線RSの所得を50万円としてみます。(本問は財の価格下落によって所得効果が生じる場合の問題です。予算が変化する場合ではないです。あくまで説明の都合で「財の価格が低下したから所得効果がある」と考えるよりも「所得が増えたから所得効果がある」と考えた方が、理解しやすいので「予算を変化させた場合」を例示しているにすぎません。ご了承ください。)

PにおけるY財の数量を10、QにおけるX財の数量を20とすると、PQの予算制約式は

5X+10Y=100 …①

となります。同様に、

RにおけるY財の数量を5、SにおけるX財の数量を10とすると、RSの予算制約式は

5X+10Y=50 …②

となります。

またTにおけるX財の数量を8とすると、PTの予算制約式は、

12.5X+10Y=100

となります。PT上の均衡点E0では、無差別曲線U0 の効用を得るには100万円の所得が必要でした。しかし、同じ無差別曲線上の均衡点E1では、予算制約式は①ですので、E0と同じ効用を50万円で得られることになります。

このように、「E0からE1へ」と「財の数量の組合せを変えることによって低い予算(所得)で高い予算(所得)と同じだけの効用が合得られる」ことが代替効果です。(正確には「財の組み合わせを変化させることによって予算が変化すること」ですね。)

この場合、、「E0からE1」の変位で、X財の数量は増加し、Y財の数量は減少しているので、X財には正の代替効果、Y財には負の代替効果があるということになります。

Ⅱ)所得効果

次に所得効果を説明します。所得効果とは、「所得が増えることによって、異なる無差別曲線へ変位すること」です。

E1からE2への変位の原因は、予算線RSから予算線PTへと遷移したことによって生じますが、この遷移の原因は、所得が増えたこと(予算の変化)です。その結果として、均衡点での無差別曲線がU0からU1へ変化し、効用が増していることがわかります。

このように、予算(所得)が増えることによって、効用が増すことを所得効果と言います。(正確には「所得の変化によって効用が変化する効果」ですね)

このように、所得効果は「異なる無差別曲線間での移動」、代替効果は「同一無差別曲線上での移動」ということもできます。

Ⅲ)全体

先ほどの例で説明すれば、E0⇒E1 とX財とY財の組み合わせを変えることによって(Y財を減らし、X財を増やすことで)100万円の予算が必要だった効用を、50万円で実現することができるとわかりました。

そこで、浮いた50万円の予算を、元の100万円に戻すことによって、X財とY財の組み合わせが、再び変化して(X財を減らし、Y財を増やすこと)、で、さらに大きな効用を得ることができたということです。

いい例ではないですが、日本からパリに10日間旅行をするとして、最初は、飛行機でビジネスクラスで行き、ホテルは中級で泊まるとして計画を立てたら100万円になったが、ビジネスで行っても、エコノミーで行っても、飛行機は同じ時間に着くから、効用は変わらないと判断し、飛行機をエコノミーにして予算を50万円にした。しかし、パリでの10日間、中級ホテルで泊まるよりも、上級ホテルの方が効用が増すと判断し、50万円をホテル料金に加算した結果、より高い効用を得られたということでしょう。(学問的にはいい例ではないので、ザックリと読んでください。)

本問のグラフでは、代替効果でX財の数量が増えます(① 正の代替効果)が、所得効果によってX財が減少する(② 負の所得効果)ので、下図のように表すことができるでしょう。

 

keizai20150823-1

「わかりやすい解説! 民法1」です。経済Ⅰ・Ⅱも続刊です。

ご期待ください。
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