数的処理の試験時間・出題傾向と採用適性との関係についての一考


数的処理という科目は、

1)パズル型というか言語情報整理型の問題である判断推理
2)数学的に問題(情報)を処理する能力を測る数的処理
3)図形の把握や想像力、分析力を測る空間把握
4)統計資料を処理し資料を分析する能力を測る資料解釈

の4分野に分けられ、出題数も16~7問と最も出題数の多い科目です。
それぞれ、職員として必要になる能力ですが、SPIよりも問題文の長さが長いのが特徴です。
1問を処理するのに必要な時間もSPIの数倍になります。
これは、公務員が民間よりも「文書社会」であり、読む能力が必要になる職種であることが主な原因だと考えられます。

中でも、判断推理では、与えられた情報の「裏」「逆」を考える能力が重視されるようになり、
「裏」の情報同士をつなげると早く解ける問題が増えているのが特徴です。

ゆとり世代が受験者の中心になって、考える能力が従来よりも発達し、物事を表面的に理解するだけではなく、
裏を読んでつなげることが上手になった「KY」世代になったので、こうした出題が増えていると考えるのは考えすぎでしょうか(笑)

さらに試験別の出題傾向には大きく差があります。

その差は試験時間に大きく現れます。

特に裁判所事務官試験は、従来から試験時間が行政職(国家公務員・地方公務員)よりも30分程度長い。

例えば教養試験の時間が最も長いのが裁判所事務官試験で3時間(専門1時間半)
次が国家一般職の2時間20分 
国税専門官などの専門官も2時間20分
都庁が2時間10分
県庁・特別区・警視庁警察官も2時間となっている。

このように40分~1時間も試験時間が長いのは、裁判所として、
事務の効率性よりも正確性を重視していることにあるだろう。

裁判事務は、国民の権利を守るために行われ、それが間違えば民事であれ刑事であれ、国民の利益を直接損ない、その損失は取り戻すことが難しい性質のものである。その重大性は行政の比ではない。
一個人の運命を握っていると言ってもいいのです。

このような行政事務と司法事務の違いは、試験における数的処理の問題傾向の違いに表れていると言ってもいいでしょう。

裁判所の数的処理は時間がかかり何度も反復して考えなければ正解に到達できない問題が多い。
これに対して、国家公務員では、複雑な計算や慎重な事務処理能力を必要とするにしても、短時間に多面的な思考力を使って解く必要がある問題がほとんどです。
また、地方公務員では、出題が簡単であり、一面的な思考で済む問題が多くみられ、裏ワザ的な解法が通用しやすく短時間で解ける問題が多い。

このように、司法、国家行政、地方行政で、数的処理に違いがあるのは、まさに「求める人材」の違いに起因していると言っていいだろう。

にもかかわらず、市中の予備校や参考書では、職種別のコースではなく「併願コース」という扱いで「大雑把」に扱い、
数的処理に至っては、裁判所と国家行政、地方行政の問題を一緒に扱って「難易度評価」をしているのだから、
合格までに時間がかかるだけではなく、言ってみれば「採用活動の妨害」をしているということにもなりかねない。

受験生にとってみても、必要以上に数的処理の学習時間が必要になり、浪人する可能性が高くなっていると思う。

高い学費を払って、長時間の授業を受けていても、その大半が、自分の第一志望に関係のない問題を学習しているだけで、結果浪人すれば、また予備校を儲けさせるだけになるという悪循環に陥ることに気づいていない。

まず、市中の予備校は、今のような「お手軽な授業や講座構成」をやめて、職種別の教材、職種別のコースに分け、彼らが納得できるだけの採用情報の収集を行うことだと思う。

浪人する理由が、「教える教師の技量にある」という以前に、そもそも、教材構成や、予備校のカリキュラム、市販の参考書の「編集方針」に問題があるということでは、公務員試験業界全体が、公務員試験受験生を苦労させるためにあるようなものだと言ってもいいだろう。

予備校は受験生の見方でなければならない。
受験の苦労を一番知っている者としては、予備校が受験生を苦労させることになることだけは避けてもらいたいと考える。
そのためには、まず、公務員試験の実態をしっかり把握することに努めてもらいたいと思う。

何も知らずに、資格試験や公務員試験の受験対策をやって、結局、たくさんの浪人生を生み出す手助けをしていることに気づかないのは、そもそも、受験生について何も知らないからだろう。
受験勉強をろくにしてこなかった人間が予備校の中間管理職にいるということ自体が、受験生の不幸なのかもしれない。

「どうして不合格になるのか」という問題に、ちゃん向き合っていないから、同じ授業・同じカリキュラムで指導していられるのでしょう。
「何故落ちるのか」を単に「数的処理ができないからだ」と、片づけているかぎり浪人生は減らないと思います。