教養論文の書き方を教えてください。


例として、国家一般職の教養論文を解説してみましょう。
まず、問題は次のようになります。
平成21年国2(現 国家一般職) 教養論文
(問題)
我が国においては、今日においても、いったん社会に入って仕事についてしまうと、どうしても仕事中心の生活になってしまいがちである。そのため、仕事を続けながら、家事、育児、介護等を行うことや家族や友人と充実した時間をもつということは現実的には難しい状況にある。一方、時代が急速に変化し、特に少子高齢化の進展に伴う生産力の低下や活力の減退が指摘される環境の下、個人のライフスタイルや意識も大きく変化してきている。このような中、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の実現を目指す動きが社会全体でますます高まっている。
以上のことを念頭において以下の問いに答えなさい。
① 仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の実現が強く求められている我が国の現状について論述しなさい。
② 仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の実現に向けて、企業、働く者及び国が行うべき取組について論述しなさい。
(解説)
論文で求められているのは論理的関連性です。
内容が「著しく妥当でない」場合を除いて、採点者は、論理的関連性を評価します。
勿論、それだけではありませんが、そちらは講義でお話ししていますので、そちらを参照してください。
では、ここでは、論理的関連性だけについて、お話ししましょう。
まず、書く前に、何を書くかを試験時間の半分くらいで考えます。その時間で下書きもします。
本問の場合は、小問1と2の論理的関連性を見せることで評価が高くなりますが、文章理解でも講義しているように、論文は結論が最後に来て、その前に、前提(課題)と、結論にいたる論理展開を書きます。
本問では、それを、わかり易いように、取り組みが結論であり、現状が「課題」ということを小問1と2で順序良く考えさせ、書かせます。
つまり、小問1と2は、本来の論文構成において、「課題」と「結論」です。なので、「結論から課題を考える」という「逆」の順番で構成を考えるのが良いと思います。
つまり、小問2で書いた取り組みが、小問1に「必要性も含めて」書かれてあることが求められています。
また、さらに、問題文では、「仕事を続けながら、家事、育児、介護等を行うことや家族や友人と充実した時間をもつということは現実的には難しい状況にある。」
「特に少子高齢化の進展に伴う生産力の低下や活力の減退が指摘される環境の下、個人のライフスタイルや意識も大きく変化してきている。」
この部分を読む限り、以上の二つの現状を書くことが小問1で求められていると考えられます。
そこで、論文の構成としては、
小問1 では、
1) 家事、育児、介護、友人と充実した時間を持つことが難しくなっている現状
2)個人のライフスタイルや意識の変化の現状
を書くのが題意に沿っていると言えるでしょう。
(参考例)
小問①
(小問①、小問②と、二つの小問が出題されているので、それに沿って回答していることを示すために、小問①という見出しで書き始めます。これを書かないと、「どこからどこまでが小問1で、どこからが小問2かわからず、採点者は、小問①、②の両方を回答していないと判断し、解答不十分と判断する場合があります。)
1) 家事、育児、介護、友人と充実した時間を持つことが難しくなっている現状について。
(問題文に使われている表現を引用することで、題意に沿って回答することを意識していることを示します。)
 わが国では、核家族化、高齢化と少子化が進み、また、男女雇用機会均等法などで、女性の社会進出が進みんだために、働く環境が激変しています。(言いたいことを最初にまとめます)
 具体的には、①核家族化と女性の社会進出が進んだことにより、20~30歳代の労働者の育児の負担を社会・企業・家庭で負担しなければならなくなっています。
 企業は時短や保育所設置、行政も保育所の増設、そして、家庭は夫婦での育児の負担の平等化があります。
 ②少子高齢化によって、40代以上の労働者は介護と仕事の両立を迫られています。少子化、一人っ子家庭が多くなり親の介護は社会と過程で分担しなければならなくなりました。
 ③企業も規制緩和、国際化が進み、海外への生産拠点の移転が進むことで単純労働者が正社員で働くことは難しくなり、労働者には高い能力が求められ、また残業や海外転勤など仕事重視を労働者に対してより一層求める傾向が高くなっています。
 ④派遣労働など、単純労働者の雇用環境は悪化し、企業の競争環境が厳しくなっている現状では、生産性の低い工場労働者の正規雇用、福利厚生の充実を新規参入企業に求めることは難しく、成長分野では単純労働者は非正規雇用ばかりになる傾向が高い。
「具体的には、」と書くことで、具体的に考えることが重要だということがわかっていることを印象付けます。
①、②、③ のような数字を使うことで、読みやすく、論理の流れを掴みやすく表示し、読む人が理解しやすい文章構成にします。
2) 個人のライフスタイルや意識の変化について
(問題文に使われている表現を引用することで、題意に沿って回答することを意識していることを示します。)
仕事だけの人生を嫌い、余暇や、趣味を重視した生き方を選ぶ傾向があります。また簡単に転職を選択肢、仕事が自分の予期したものと違えば、簡単に退職する。離職率が就職5年以内で30%程度あるというのも、仕事に対する考え方が、企業と大きく差があると考えられます。
ただ、再就職が難しいので、最初に就職した会社よりもさらに雇用環境の悪い会社に転職するしかない場合が多いとも考えられている。
転職によって雇用環境は一層悪化していくというのが日本の転職の現状であるということを知らない大学生が多いと思う。
小問2
1)企業が行うべき取組
2)働く者が行うべき取組
3)国が行うべき取組
というように、出題意図に沿った見出しで、書くことで、合格点が得られます。
小問1で①では、託児所や保育所の増設、②では、介護の負担軽減、③では、規制緩和、国際化に対して、対応できるだけの教育の充実や、教育制度の変更、④では、労働者の就業援助や技術訓練、教育訓練制度の充実などが挙げられる。
小問1との論理関連性があることが求められます。
なので、小問2で考え付いた取組を列挙しておいて、それを小問1で現状を書く、という書き方が良いかと思います。
練習する際、考え方を理解しないで、ただ、参考答案を丸暗記して、書いているのが受験生の現状ですが、教養論文は、過去問からそのまま出ることはないので、題意とは離れた「空文」を書くことになり、採点者も、「まあ、しょうがないだろう」と諦めているのが現状かもしれません。
論理的関連性を示すこと、題意に沿っていることを示せれば、内容がどうこういうことはないので、まず、ポイントを押さえた論文を書くように努力してみてください。
それと、論文の最後には「以上」を書くのを忘れずに、
場所は、論文の最後であれば、どこでも良いです。
これを書くことで、「最後まで書き終えました」「私の書きたいことは終わりです」という意思表示になり、採点者側は、「時間内に書きたいことを整理して、書き終えることができた。」と評価してくれます。
皆さんの論文は、どこまでが小問1で、どこからが小問2かがわからないし、最後に終わっているのかどうかも分からない。
そんな論文ばかりですから、小問1、2と書く、また、最後に以上と書くだけで、採点者の印象は良くなります。
論文は印象の良しあしが評価につながります。
読みやすいこと、論理的に細かく、項目立てをしていること、そして、題意に沿って、整然と順番立てて、論理的に説明していることが、評価の基準です。
何を書いたかではなく、何を書くべきだったかを知っていること(書けなくても、それがわかっていたことを示すのが項目立てであり、形式です)を、示せることが大切です。国家一般職や、都道府県庁以上では、まず、形式が整っていることが見られます。内容は二の次です。
市役所や警察、消防では、また違った観点があります。
経験者も、また観点が違います。
では、頑張って。
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